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「CAN YOU CELEBRATE?」に始まり「月光仮面」で終わった著作権・開局特番
2009年1月6日
FM-N1の開局特番「歌は誰のもの?」が無事終わりました。今年はサイマル放送を始めた記念すべき年であったため、著作権問題に的を絞った企画にしました。
というのも、サイマル放送の開始と同時に、レコード協会などへ新たな著作権料の支払いが必要となるため、総じて経営規模の小さいコミュニティ放送局にとっては大きな負担となるため、著作権に対する関心が高まっていたためです。もちろん社会的にも、著作権問題が取り上げられていた時期、ということもありました。
2時間の番組で流した音楽は12曲でした。何故、番組が終わった後では聴けもしない楽曲の話をするかというと、著作権処理の問題で、事前に演奏曲目をリスナーに予告してはいけない、との制約があるからです。
ちなみに、12曲を紹介しておきましょう。
①安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」 作詞・作曲 小室哲哉
②土居まさる 「事故の起きた朝」 作詞・門谷憲二、作曲・浅沼勇
③泉谷しげる 「白雪姫の毒リンゴ」 作詞・作曲 門谷憲二
④佐藤公彦 「雨宿り」 作詞・門谷憲二、作曲・佐藤公彦
⑤吉田拓郎 「されど私の人生」 作詞・作曲 斉藤哲夫
⑥古井戸 「ポスターカラー」 作詞・作曲 仲井戸麗市
⑦花頭巾 「にっぽん昔ばなし」 作詞・川内康範、作曲・北原じゅん
⑧青江三奈 「恍惚のブルース」 作詞・川内康範、作曲・浜口庫之助
⑨青江三奈 「伊勢佐木町ブルース」 作詞・川内康範、作曲・鈴木庸一
⑩山口百恵 「プレイバックPart2」 作詞・阿木耀子、作曲・宇崎竜童
⑪布施明 「シクラメンのかほり」 作詞・作曲 小椋佳
⑫近藤よし子・キング子鳩会「月光仮面は誰でしょう」 作詞・川内康範、作曲・小川寛興
番組の最初のトークは、詐欺罪で起訴された小室哲哉被告のことで、これは刑事事件であって著作権法の違反ではない。従って、一部で小室関係の楽曲を自粛する動きがあったが、これは安室奈美恵ら他の権利を侵害するもので、自粛すべきではない、との考えを述べた。
次いで、昔あったエレック・レコードを例にして、著作権の意識が低かった時代であり、エレック所属の歌手や作詞、作曲家に著作権料が支払われていなかった、と話した。社外の斉藤哲夫さんには支払われていたことが歌手仲間に知れ渡り、会社が消滅してしまった。
しかし、ラジオ番組がきっかけになり、楽曲の復刻盤が発売された経緯に触れた。
最後の話題として、「おふくろさん」を巡る川内康範さんと森進一さんの確執に言及した。
川内さんが話し合いを求めたことに対し、森さんが「歌はもう、私のものになっている」とコメントしたことが問題であり、川内さんは、森さんの理解を得られれば新しい「おふくろさん」が生まれていた可能性を指摘した。ただ、この問題は明らかに著作権法に違反しており、同法に基づいて歌唱差し止めが行われたのであって、人情論を差し挟んで論じるべきではない、との考え方を述べた。
FM-N1では、原則として演歌は流さないので、「おふくろさん」を聴きたい森ファンの方は、紅白歌合戦を楽しむよう、お薦めもした。
この音楽業界を代表するイベントの紅白歌合戦では、「おふくろさん」以外にも著作権に関するトラブルがあったことも紹介し、著作権意識の低さが払拭されなかった背景に触れた。
例として、川内さんが名付け親になった青江三奈さんを取り上げ、「伊勢佐木町ブルース」のため息部分が打楽器の音に置き換えられた事実を挙げた。青江さんは当時、森さんと並び称されるハスキー・ボイスで一世を風靡したが、青江さんはジャズ、ブルース歌手であるため2曲を流した。
この他では、かぐや姫の「神田川」の歌詞にあった「クレパス」(商品名)問題による出演拒否、山口百恵さんの「プレイバックPart2」の中の「ポルシェ」はそのまま歌われたが、問題視されていたため「真赤な車」と言い替えるのではないかという憶測が広がり、今でも、そちらの方が事実と思い込んでいるファンが多い、という罪作りな点だった。
最後は、「歌は、著作権料を払っている一般の音楽ファンのものであり、将来にわたって、良い音楽を提供してもらうための期待料、投資であって、業界内部の利権になってはならない」と締めくくった。